広島のすぅちゃん

BABYMETAL中元すず香の軌跡をたどる

仏紙フィガロがBABYMETALをディスったと聞いて

ダウンロードパリのメインステージに出演したBABYMETALについて
フランスの日刊紙「フィガロ」が「酷評した」とネット上で話題になっていたのを見ました。
ファンの間でこの記事に対して様々な意見や批判がでていましたので、当日現場にいたものとして知っていることは記しておこうと思います。

 

1 BABYMETALの出演時間は18:00~19:00(60分)と公式にアナウンスされていた
 http://www.downloadfestival.fr/fr/lineup/main-stage

2 私がフェスに参加して見た範囲の限り、BABYMETALより先にメインステージに登場したApocalypticaもSaxonもほぼ時間どおりに登場し、持ち時間を使い切った。サクソンに至っては「まだもう1曲やる時間があるな。なにが聞きたい?」などのトークもいれていた。初めてフェスに参加した私は「メタルバンドもけっこう時間にきっちりなのね」と思った。

3 BABYMETALは時間に少し遅れて登場した(5分ぐらい?このあたりは正確な時間はわからない)。前のバンドが時間どおりにでてきていたこともあって、私は「ちょっと遅いな」とは思った。

4 演奏が始まった途端、音が途切れて中断した。

5 ステージ上の神バンドはみな舞台袖を見やり、なにかアピールしていた。音響トラブルであることは最前にいた私は見てとれたが、後方の観客にも伝わったかはわからない。

6 舞台上の神バンドも、舞台の端にでてきていたBABYMETALもポーズをとりながら1分ほど待機していた。

7 舞台袖から1人スタッフがでてきて、神バンド並びにBABYMETALになにかを告げ、全員無言で舞台袖にはけた。

8 なんのアナウンスもなしに20分以上中断。その間、詰め掛けた観衆はブーイングをすることもなく、巨大モニターに映し出されるピカチューやおっぱいお姉さんを煽りつつ根気強く待ち続けた。

9 18:30頃、神バンドが再登場。特にアナウンスもなく演奏を始めた。

10 BABYMETALも登場し、DEATH再開。

11 18:58頃、予定時間よりじゃっかん早く、6曲の披露のみでステージを終えた。BABYMETALからライブの遅延や短縮について特にコメントはなかった。

12 BABYMETALはシーユー♪と言い残したのみであっという間に去っていった。

13 神バンドが去るとき、BOHさんは手を前にあわせ、深くお辞儀をしていた。日本人の私にはなにかについて謝っている、あるいはなにかについて感謝していることは伝わった。ただ、BOHさんの手を前であわせお辞儀する姿は、東京オリンピック招致の際に話題となった「おもてなし」の時のスタイルであり、現代日本人が用いる礼儀作法ではないため、若干違和感があったものの、BOHさんの気持ちは十分私には伝わった。フランス人に伝わったかどうかはわからない。

14 神バンドは、ステージ後、日本から遠征してきたファングループに気さくに声をかけ、即席交流会を行った(ここは私は現場にいなかったのでネットから得た情報)。


以上、1~13が私が現場で見た事実&感想です。
個人的に、時間がおした分は延長してやるのかなあと思っていたので予定時間より早くあっさり終わったのには肩透かしをくらいました。もう1曲ぐらいはあると思ってたんです。
ただ、これは、フェスの性格上、しかたないかなと。
ダウンロードパリの時間構成は、メインステージとそのすぐ隣にある第3ステージで演奏と休憩を交互にとるスケジュールとなっていました。
仮にBABYMETALが時間を延長すると、その後の第3ステージのTWIN ATLANTICと音が重なることになりますから。
ただ、ファン心理としては、ちょっとオーバーしてもせめてIDZ(個人的な趣味)だけでもやって欲しかったというのが正直な感想です。

(ちなみに、第2ステージと第3ステージは出演時間がかぶる構成でした。時間(音)がかぶらないのはメインステージのみ。やはりメインステージというのは特別なんだなと感じた次第です。)

 

さて、フィガロはどう書いたのか

● Des couacs techniques

 

Ce sont les inconditionnels du direct. Parfois, les instruments lâchent ou la musique refuse de partir. Megadeth peut en dire quelque chose. Malgré un spectacle détonnant, le chanteur du groupe a du affronter un problème de micro durant quelques instants. Une petite difficulté heureusement vite réparée. Ce qui n'a pas été le cas de Baby Metal, qui a défaut d'avoir joué de la musique a fait du bruit.

 

Non seulement le groupe japonais a commencé son spectacle avec trente minutes de retard (un gros décalage dû à des ennuis techniques), mais la formation a ensuite enchaîné ses titres sans rythme, sans spontanéité et sans présence scénique. Malgré le soutien d'un fan-club survolté, les festivaliers présents en second plan lors du show ont loin d'avoir été subjugués...

 

 http://www.lefigaro.fr/musique/2016/06/13/03006-20160613ARTFIG00221-rammstein-iron-maiden-bon-bilan-pour-le-festival-download.php 

 

以下、筆者による適当和訳

●ノイズ(注 couacsは擬音。「クワック」という音。アヒルがクワックワッと鳴いているあの音に近い擬音。意味的には「調子はずれの音」。技術的な(音響トラブルによる)クワックですからノイズと意訳しました。)

 

これはもうライブにはつきものの音だ。時には、楽器を落としてしまったり、音が鳴らなかったりすることもある。メガデスはこのことについて何か言及することがあるだろう。彼らのショーは不本意ながら音が狂ってしまった。ボーカルはマイクトラブルに何度か直面せざるを得なかったのだ。幸いにも彼らはこの問題をすぐに解決した。しかしBABYMETALではそうもいかなかった。BABYMETALは演奏することができない状況に陥ってしまい大騒ぎとなったのだ。

 

この日本のバンドは、30分遅れ(音響トラブルによるひどい遅れ)でショーを始めたのみならず、間があいた後のショーを、リズムもなく、自発性もなく、存在感も示せない作品でつないだのだ。熱狂的なファンのサポートがあったにも関わらず、後方で見ていた観客達を魅了するには程遠かった。

 

音響問題をクローズアップし、トラブルをすぐに解決したメガデスに触れつつ
日本のバンド=BABYMETALは、音響問題を解決できなかったことに重点が置かれています。
その上で、「ひどい遅れ」で登場したのに、(間があいて白けてしまったステージを、)自発性もなく(決まったとおりに)、存在感も示せずに(MCもなく、遅れに関するコメントもなく)、単に作品を(たんたんと)繋いだだけだったと。
それでは一部の熱狂的なファン以外を魅了することができるわけないよね という趣旨のレポートです。

 

これは、もう、そりゃそうだよね という内容です。

 

 

このレポートを書いた人は、初BABYMETALでしょう。(「Baby Metal」と書かれていることからの想像です)
BABYMETALに関する前知識(先入観や偏見も含め)はなかった人かもしれません。

 

とはいえ、まっさらな目では見ていなかった可能性があります。

 

これは私が撮影したBABYMETALのひとつ前でメインステージに出演したサクソンのときの写真です。

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ステージ前は大量のカメラマンで埋め尽くされていました。
ダウンロードフェスというのはこれほどのカメラマンが詰めかけるほど注目されている一大イベントなんだということを実感しました。
サクソンでは、2曲目をプレイしたあとカメラマンは全員退出したので、撮影は2曲目までという取り決めがあったことがわかりました。

 

一方、これがBABYMETALの状況です。

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取材ゾーンにはダナさんとそのアシスタントの2人しかいませんでした(ダナさんの隣はステージの公式カメラクルー)。

 

BABYMETALは注目されていなかったのか?
そうではありません。BABYMETAL側が取材を許さなかったのです。

 

こちらはダウンロードパリの状況を写真で伝えているサイトです。
http://www.soul-kitchen.fr/67109-photos-download-festival-paris-11062016

 

当日メインステージに登場した、Apocalyptica、Saxon、Biffy ClyroKorn、すべてのバンドの写真が載っています
バンドの写真がないのはBABYMETALのみです。
つまり、BABYMETALのみカメラマンを締め出したことがわかります。

 

さて、ダウンロードパリの状況。
ダウンロードパリは初開催でした。
メタルがイギリスや北欧ほど盛んでないフランスですが、音楽好きの国民性もあり、かなり注目度が高かったでしょう。
これほど多くのカメラマンが詰めかけているし、こうしてフィガロ紙まで取材に来ている。
フィガロは、フランス最古の新聞です。
日本でいうところの朝日新聞や読売新聞あるいはそれより伝統も格式もある媒体と言っていいでしょう。
(朝日や読売が世界のオピニオンリーダーになることはあり得ませんが、フィガロはなり得る媒体です)
朝日や読売が音楽フェスに記者を派遣して報道しているかどうかは知りませんが、フランスはこうやってフェスの状況を報道している、つまりは文化にも関心が高いお国柄ということがわかります。

 

当該フィガロ記事もフェスの写真を載せていますが、BABYMETALという日本から来た風変わりなバンドがカメラ撮影さえ許さないというのはフランスマスコミ界隈では評判となっていたことでしょう。
この記者がBABYMETALを知らなかったとしたら、写真撮影を拒否する高飛車なバンドというのが第一印象だったかもしれません。


撮影拒否するBABYMETALってのを批評してやろうじゃないかとステージ遥か彼方で待っていたところ

30分も遅れてでてきた。
このフェスには伝説級のバンドも多数出演しています。ライブの経験値は比べものになりません。
そんなフェスで新米バンドが撮影拒否までして自分たちのポリシーを貫いたのにこの有様。そう思ったかもしれませんね。

(この記者は、後方の観客の様子について記していますので、後方から取材していたことがわかります。カメラ撮影ができないということは、アーティストの近くで取材できないということにもなります。近くで取材していれば印象もかわったかもしれません。)

そして遅延&短縮について言及することもなく淡々とステージを終えてしまった。
冒頭に
「12 BABYMETALはシーユー♪と言い残したのみであっという間に去っていった。」と書きましたが、初見のフランス人にとってはそういうイメージだったろうなと思ってバイアスを入れて記しました。
熱狂的なステージのあとであれば多くの観衆を「なんてクールだ」と魅了するわけですが、今回ばかりは間が悪かったかもしれませんね。


・正確な演奏
・MCなし
・様式美
といったBABYMETALのプラスの特徴が、間が空いて白けてしまった記者や一部の観客にはマイナスの印象をもたらしたのかもしれません。
「機械的だった」「人間味に欠けていた」「決められたとおりに演じているだけ」と(少なくともこの記者には)受け止められた可能性があります。

 

そこが、「リズムもなく、自発性もなく、存在感も示せない」という表現につながったんだろうなと。
これは音楽性を表現しているように見えて、実はそうではないと思っています。
・正確な演奏
・MCなし
・様式美
を悪いほうに言い換えるとこうなるというだけだと思います。

 

あと、まあ、ひと言でもフランス語をしゃべればよかったかもしれませんね。
さくら学院のワンダフルジャーニーで「シルブプレ♪」とか歌っているのにもったいない・・・笑
(サクソンは英語のみでしたがApocalypticaは拙いフランス語でも挨拶してました)

 

結論:今回のステージにはフランス好きの堀内まり菜が必要だった