2013年3月8日にアップされたさくら学院日誌では佐藤日向(中等部2年)が杉本愛莉鈴(小等部6年)について語っています。
http://ameblo.jp/sakuragakuin/entry-11485872091.html
この日誌を見るにつけ、この頃、杉本愛莉鈴がさくら学院を辞めることが伝えられたのではないでしょうか。
ご存知のとおり杉本愛莉鈴はわずか1年間の活動でさくら学院を脱退するのですが、これはさくら学院始まって以来初めての事態であり、これ以降も杉本愛莉鈴以外に途中で辞めた例はありません。
メンバー達にとってはショッキングな知らせだったでしょう。
この日誌の「これからも大事な後輩そして友達でいてほしいナ!!」という書き方は、別れを決意した人へ気持ちを届けたかったんだろうなあと思わされます。
佐藤日向について中元すず香はこのようなことを言っています。
なたひー(佐藤日向のこと)が転入生や年下の子と私たちの大切な架け橋になってくれました。
中元すず香卒業式答辞より
いたずらっこで、いるだけで場が明るくなるという佐藤日向の存在は後輩たちからも好かれ、親しみやすい存在だったのでしょう。
そんな後輩たちに慕われていた佐藤日向は杉本がさくら学院を辞めると聞いて、書かずにはいられなかったのかもしれません。辞めるからといって縁が切れるわけではない、私たちは繋がっているんだと。
杉本愛莉鈴の卒業が発表されたのは2013年3月29日の放課後アンソロジー(スタンディングライブ)でのこと。
時系列的には少し早いが、杉本の卒業は生徒会長中元すず香にとっても大きな出来事だったはずであり、ここで触れておきたい。
出典:https://twitter.com/sugimoto_mariri/status/811088550644969472
杉本愛莉鈴は中元すず香と同じアクターズスクール広島(ASH)出身。
ASHに入学したのは4歳のとき(12期生)。同期には元モーニング娘。の鞘師さんがいます。
5歳の頃の杉本愛莉鈴
出典:http://girlsfes.narumiya-online.jp/cinderella/blog/52/1554/)
こちらの動画は中元すず香と杉本愛莉鈴がお互いに紹介し合う動画
もうね、、、この動画は感じることがたくさんありますね。
中元すず香が小学3年生、杉本愛莉鈴が幼稚園の年長さんからの付き合い。
杉本愛莉鈴が小学生となり、中元すず香と同じクラスになったとき中元すず香は小学4年生(アクターズスクールは小学1年から5年生までがAクラス。幼稚園以下はKIDSクラス)。
ASHは年に2回発表会があり、クラス単位で出演するわけですが、クラスの歌割りを決めるにもオーディションがあります。
ふたり(中元すず香と鞘師里保)は同じクラスになることが多くて、クラス内オーディションで歌割りを決めるんですけど、いつもみんなの前で、どっちが大サビを歌うのかを発表されるような感じでした。ふたりとも、みんなの憧れの存在でしたね。
石野理子(元ASH,杉本愛莉鈴同級生)インタビューより
https://about-ash.com/16interview_ishinoriko/
Aクラスの年少の生徒にとって、中元すず香と鞘師里保は憧れの存在。
杉本愛莉鈴もこのように語っている。
中元すず香ちゃんを見て、「私もこんなふうになりたい」って思ったんです。
About ASHインタビューより https://about-ash.com/24interview_sugimotomariri/
Perfume、青木紗知歩(BEE-HIVE)、Mebius、西脇彩華(9nine)、石井杏奈、まなみのりさ、鞘師里保(モーニング娘。)、中元日芽香(乃木坂46)、段原瑠々(ハロプロ研修生)、石野理子(アイドルネッサンス)、谷優里(AKB48)、植木美心(Dancing Dolls)、花岡なつみ、等々
芸能界に幾多ものタレントを輩出しているアクターズスクール広島ですが、小学生の間にメジャーデビューした逸材はそれほど多くありません。
それが中元すず香と杉本愛莉鈴。
杉本愛莉鈴はASHの発表会で何度もソロ出演を果たしており(2009秋、2011春、2011秋)歌唱力も高く評価されていました。
「ゆずれない願い」杉本愛莉鈴 小学5年生時
杉本愛莉鈴の魅力を中元すず香がシンプルに語っています。
・めっちゃスタイルよくてめっちゃ歌上手い子
・すごい超歌上手くてガッツリ踊っててびっくり
その杉本がASH時代に組んでいたユニットがマリアル
マリアル「ヘビーローテーション」 杉本愛莉鈴 小学5年生時
初出はおそらく2011春の発表会だと思いますが、メンバーは杉本愛莉鈴、石野理子、橋本茜(以上当時小学4年生)、段原瑠々(当時小学3年生)の4人。
このユニットのクオリティは動画を見ればわかりますがとにかく歌がうまい。
杉本愛莉鈴と背丈も似ているのが石野理子さん。
ASHの発表会でもソロアクトを何度かとっています。
石野理子「ノスタルジア」
石野理子さんは現在アイドルネッサンスで活躍中。
アイドル界には「アイドル楽曲大賞」というファン投票があるのですが、アイドルネッサンスは2016年のインディーズ部門でトップ10に3曲も送り込みフェスでも引っ張りだこのグループです。
そこでの石野理子さんの評価は高く、いくつか生歌の動画を見ましたがほんとうまい。そして雰囲気も持っている。髪が乱れるのも気にせず一心不乱に踊る姿はすぅちゃんを彷彿とさせます。
アイドルネッサンス「シルエット」
どの人が石野理子さんかわからないかたは、すぅちゃんみたいに汗で髪が顔にべったりの人を探せばそれが石野理子さんです。
マリアルで小さくかわいらしいのが段原瑠々さん。
段原さんは小学6年生のときハロプロ研修生になります。
以来、3年以上研修生のままという不遇をかこっていますが、その歌唱力はハロプロでも屈指のレベルと言われています。
段原瑠々「Let It Go~ありのままで」
いやあ、高音がキレイですね・・・
段原さんはASHでもソロアクトの常連。気持ちよい高音を歌わせたら杉本愛莉鈴、石野理子より上だったかもしれません。
こんなタレントが集まった奇跡のユニットがマリアル
4人のバランスも非常によく、Perfumeのようにこのままユニットとして活動していれば天下とってたんじゃないか、そんな妄想もしたくなります。
しかし、マリアルは杉本愛莉鈴がアミューズに引き抜かれたことにより活動を終えました。
アクターズスクール広島は自信を持って杉本愛莉鈴を送り出したことでしょう。
中元すず香の言葉のとおり、歌、ダンス、スタイルという3つもの才能を併せ持ち、性格的にも天然で周りを引き付けてやまないキャラは、さくら学院でも光っていた。彼女が在籍し続けていたら、さくら転入が同期の大賀咲希との凸凹コンビや、同学年の磯野莉音・杉本愛莉鈴のツインタワーが2人のパーソナリティが相まってどんな風になっただろうと想像せずにはいられません。
さくら学院を担う存在として将来を嘱望されていた杉本愛莉鈴がなぜ辞めることになったのか。
まりりにはもう一つかなえたい夢があって
それを叶えるためには、どうしてもさくら学院
との両立がむずかしくて
杉本愛莉鈴学院日誌より http://ameblo.jp/sakuragakuin/theme-10054437918.html
(卒業を発表したライブで)
真剣な眼差しでモデルでトップになる、
という夢を熱く語ってくれました。
http://d.hatena.ne.jp/crossroad_2010/20130329/1364559645
公式には「モデルになる夢を叶えるため」
杉本愛莉鈴の経歴を時系列でたどると
・2010年10月(小学4年)小学生向けファッション誌ニコ☆プチの読者モデルに
ニコプチ2011年2月号
・2011年2月(小学4年)ナルミヤ・シンデレラオーディション準グランプリ
・2011年10月(小学5年)ニコ☆プチ専属モデルに
ニコ☆プチ2012年4月号で表紙を飾る杉本愛莉鈴 (右)
・2012年5月(小学6年)さくら学院転入
ということで、確かにモデルとしての活動のほうが先です。
とくにニコプチの専属モデルとなってからは活動も活発化しており、2012年にはハワイに撮影に行ったりしている。
そして問題の2013年は専属モデルで最年長となる勝負の年だったらしい。
勝負の年にさくらと並行でやるのか、モデル活動に専念するのか。杉本はモデル専属を選び、結果として2013年は見事にエースとして活躍したとのこと。
(モデル活動については、ピチレモン百科事典Wiki ピチペディア参照)
さくら学院卒業式でも、校長、担任、メンバーみんながモデルになるためまりりは卒業するという前提で杉本へ激励の言葉を贈っているのですが、ただ一人違うことを述べた人物が。
それが中元すず香
そして、まりりちゃん
夢に向かってみんなより一歩早く旅立つことになったけど
広島から通うことがどれだけ孤独でたいへんか
誰よりもすぅは知ってるから
よく頑張ったね
これからも応援しているから
中元すず香答辞より
広島から通うことがどれほどたいへんか。
杉本愛莉鈴自身も後年こう述べています。
・私もさくら学院にいた時期はほぼ通いだったので、大変さがすごくわかります。始発で来て終電で帰ったり、2週間くらい家に帰れなかったり。
・(さくら学院の活動は)想像してた以上に大変でした。広島から通うだけで体力を消耗してたのに、さらに毎日のレッスンがあって。
About ASHインタビューより https://about-ash.com/24interview_sugimotomariri/
小学生が広島と東京を行き来する。それだけでも体力的にたいへんなのに行った先では途方もないレッスンが待っていて。
朝でていった娘が精根尽き果てて深夜に帰ってくるんでしょうね。普通の小学生なら寝ている時間に。。。
そしてなんといっても、とめどもない孤独
中元すず香も広島から2年間さくら学院に通い続けましたが状況が異なるのが
・中元すず香は中学生になっていたこと、杉本愛莉鈴はまだ小学生だったこと
・東京にいる間はアミューズの寮暮らしだが、中元すず香には同じ寮仲間の松井愛莉がいたこと、杉本愛莉鈴には地方組の仲間がいなかったこと。
寮で一緒に過ごす仲間がいないというのは本当に孤独だったでしょう。
小学生が独り寮で生活する。想像するだけでもう。
杉本愛莉鈴と入れ替わりで、鹿児島の山出愛子が小学5年生でさくら学院に転入してくるのですが、山出には同じ地方組の白井沙樹がいた。寮で楽しく過ごしている様子は日誌にも記されています(二人とも地方在住なんで 夏休みの寮生活)。
中元すず香が東京に引っ越していなかったら一緒に通えたでしょうし、他に地方組が誰かいたら孤独感も少しは和らいだかもしれない。杉本愛莉鈴は巡り合わせが不運だった。
杉本愛莉鈴にはほんとに1年間「よく頑張ったね」としか。
また、小学生の娘を東京に送り出し、時には2週間も会えない親御さんの気持ちはいかばかりだったでしょうか。
杉本愛莉鈴の東京通いは家族間で大きな問題となっていたようで、杉本の両親は転勤希望をだして、首都圏へ居を移すことになる。この時期がまた微妙で「小学校卒業直前くらい」とのこと(参照https://about-ash.com/24interview_sugimotomariri/)。
「さくら学院のための東京通いはもう無理だ」と心が折れたあとに転属希望が叶えられたのか。それともやはりモデルとの両立は無理だと判断したのか。時期が微妙なだけに詳細はわかりませんが、もし仮に転勤が早く決まっていて家族と一緒に東京で暮らせていたら、さくら学院とモデルの両立も案外できるかもと思ったかもしれません。
こちらは、ナルミヤ(子供服ブランド。杉本はナルミヤ・シンデレラオーディションの準グランプリ)のイベントでの一コマ(撮影2013年3月10日)。
出典:http://girlsfes.narumiya-online.jp/news_det.html?G_NEWS=107
隣にいるのはどう見ても山出愛子ですよね。このイベントはファンがモデルの女の子たちに会えるというもの。山出以外の3人がモデルで、山出はいちファンとして写真を撮ってもらったという扱い。キャプションは「オソロコーデできめてくれた子も」。山出のオソロコーデは杉本のもの。このとき杉本のさくら学院脱退、山出の加入も決まっていたのかどうか。歴史が交錯する一枚。
現在はモデルとして活躍中の杉本愛莉鈴ですが、私自身は彼女に、かつて東京パフォーマンスドールに在籍し、小室哲哉プロデュースで華麗に変貌を遂げた篠原涼子さんのような面影を感じています。
歴史にたらればは禁物ですが、杉本愛莉鈴をめぐる状況はたらればと言いたくなってしまう。それぐらい彼女の才能を惜しみます。
中元すず香にとっては、自分が生徒会長のときに辞めてしまう子がでてきてしまった。それもASH出身の自分に憧れてくれていた子。もっとケアしてあげていれば、もっと悩みを聞いてあげてれば、そんな風に後悔したかもしれません。
卒業式で心を込めた言葉を贈ったすぅちゃんは、いつも杉本愛莉鈴のことを気にかけているでしょう。
さくら学院の学院祭や卒業式でOGとともに撮る集合写真、杉本愛莉鈴の傍らにはいつも中元すず香がいます。